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妊娠期のビタミンA、摂った方がいい? それとも危険? 安全なビタミンAと危険なビタミンAの違い、ビタミンAサプリメントの選び方

妊娠をすると、病院の医師や管理栄養士の方から、「ビタミンAのサプリメントを飲むのはやめてください」と言われる事があります。

この理由は、妊婦さんがビタミンAを大量摂取すると、胎児に奇形が発生する危険性があると言われているためです。

このようなことを言われたら、さすがにビタミンAを摂取するのをためらいますよね。

では、ビタミンAは本当に赤ちゃんにとって悪影響を与えてしまうのでしょうか? 今回は、妊娠期のビタミンA摂取の安全性について、詳しく解説します。

ナンナン

ボク、今日からビタミンAサプリを飲むのやめるよ・・・

はる かおる

あれ、ナンナンいきなりどうしたの❓

ナンナン

今日さ、産婦人科に行ったらビタミンAサプリを飲むのやめるように言われたんだよね・・・💧
ビタミンAサプリを飲むと奇形が生まれちゃうんだって・・・

はる かおる

あー、妊娠した人は、お医者サインからそう言われるよね。でも、ビタミンAは赤ちゃんにとっても大切な栄養だから、なるべく摂った方が良いよ。

ナンナン

いやいや、絶対ダメでしょ❗だってお医者さんがそう言ってるんだよ❗奇形が生まれたらどうするの❓

はる かおる

ビタミンAを摂ったからといって、奇形になるわけじゃ無いんだ。実はビタミンAにも種類があって、危ない物もあれば安全な物もあるんだよ。そのあたり、詳しく説明してあげるね。

\この記事の解説動画はこちら/

目次

妊娠期のビタミンA摂取、本当に危険? 妊娠期にビタミンA摂取を控えるよう言われる理由

妊婦さんがビタミンAを大量摂取すると、胎児に奇形が発生する危険性があると言われています。そのため、妊娠が成立したら、ビタミンAのサプリメントやビタミンAを多く含む食べ物は避けるよう言われることが一般的です。

ですが、ビタミンAは胎児の成長に必須の栄養素でもあります。ビタミンAが不足したらしたで、赤ちゃんの成長にも悪影響を及ぼしてしまいます。

では、なぜ妊娠中のビタミンA摂取が危険と言われているのでしょうか?

その理由は、ビタミンAが皮膚・粘膜の細胞分裂や角化の正常化などに関わっているためです。ビタミンAはビタミンDと共に細胞の分化分裂、角化(皮膚の一番外側にある角質細胞ができてから剥がれ落ちるまでの過程)の正常化に関わっています。

具体的には、細胞内の受容体(レチノイン酸受容体:RARやレチノイン酸X受容体:RXR)に結合することで、遺伝子発現を調節する働きがあります。この働きにより、特定の遺伝子を活性化、不活性化することによってタンパク質合成を促進したり、抑制したりして、特定の細胞を適切に分化させ、異常な細胞の増殖を抑制します。

皮膚は、およそ28日で生まれ変わる。この生まれ変わりの規則正しい細胞分裂を誘導には、ビタミンAが関わる
ビタミンAは、ビタミンDと共に肌の新陳代謝(ターンオーバー)に関わる。そのため、ビタミンAは角化症の改善においても重要

妊娠初期では、赤ちゃんの主要な器官の元が作られる時期であり、最も薬物や放射線の影響を最も受けやすい時期です。

この時期にビタミンAが遺伝に対して過剰に働いてしまうと、奇形のリスクが高まってしまう恐れがあります。そのため、妊婦のビタミンA摂取は控えるよう言われていることが一般的です。

ナンナン

やっぱり、ビタミンAを摂りすぎると悪影響が起こるんじゃん・・・

はる かおる

確かに、ビタミンAは細胞の分化分裂に関わっているから、過剰に働くと危ないよ。でも、実は安全なビタミンAと、危険なビタミンAがあるんだ

ビタミンAの基本。安全なビタミンAと危険なビタミンAの違い。

では、妊娠が成立したらビタミンAの摂取は避けた方が良いのでしょうか? これについては、妊娠したらむしろビタミンAは積極的に摂取した方が良いというのが結論です。

この理由は、ビタミンAには細胞の分化分裂に関わっているため、不足すると細胞分裂がうまく出来なくなって赤ちゃんがアトピーやアレルギーを抱えやすくなってしまうためです。

ビタミンAは赤ちゃんの成長にとても必要な栄養素。不足もまたリスクになる

ただし、摂取するビタミンAは、何でも良いわけではありません。実は、ビタミンAと一言で言っても、様々な種類が存在しています。この種類の違いをよく理解することが大切です。

妊娠期の安全なビタミンA摂取を行うためにも、安全なビタミンAと危険なビタミンAの違いをよく理解しておきましょう。

ビタミンAには様々な種類があり、その種類と働きをよく理解することが大切

まず、ビタミンAの基本について解説します。

ビタミンAにはいくつかの種類があり、大きく分けて「動物性食品」に含まれているものと「植物性食品」に含まれているものの2種類があります。

食品に含まれるビタミンAは、主に二種類ある。動物性食品にはレチノールが含まれ、植物性食品にはβ-カロテンが含まれる

動物性食品には、主に豚や牛などの肝臓に多く含まれているほか、タラの肝臓など魚の肝臓にも含まれています。豚や牛に含まれているビタミンAは「レチニルエステル」、タラの肝油など魚油には「レチノール」というビタミンAが含まれています。

また、植物性食品では、緑黄色野菜に多く含まれる「β-カロテン」や「α-カロテン」「β-クリプトキサンチン」などがあります。このαカロテンやβカロテンは構造が違うビタミンAの仲間(プロビタミンA)で、体内では必要な分だけビタミンA(レチナール)に変換されて利用されています。

カロテノイドは、プロビタミンAのβ-カロテン以外にも、リコピンやルテインなど様々なものが存在する

この他、食品に含まれているビタミンAとは別に、体内で実際に働いている形のビタミンAがあります。それが、「レチナール」と「レチノイン酸」です。

レチナールは、主に網膜に存在し、視覚に関与しているビタミンAの形態です。私達がものを見るためには、眼に入った光が視覚情報として処理され、脳に送られなければなりません。

ビタミンAとロドプシン再合成の関係。網膜に光が当たると、ロドプシンが光の刺激によって分解される。分解されたロドプシンはすぐまた再合成され、この連続でものを見ることが出来る。このロドプシンはビタミンAのレチナールで出来ている

この光を信号に変え、脳に伝達する役割を担っているのが、「ロドプシン」と呼ばれる色素と「レチナール」です。

ロドプシンは光の刺激を受けると分解されますが、すぐまた再合成されされます。この再合成の連続作用により光を信号に変え、脳に伝達して「ものを見て」います。

このロドプシンの合成には、「レチナール」というビタミンAが関わっています。レチナールは網膜でビタミンA(レチノール)から作られるため、ビタミンAが欠乏すると夜間や暗部など暗い所で視力が低下する「夜盲症」に繋がります。

そして、このレチナールは、体内で必要に応じて「レチノイン酸」という形に変化します。

このレチノイン酸は最も活性の強いビタミンAで、細胞の分化・分裂をコントロールし、免疫細胞や皮膚、粘膜細胞などの正常な分化・分裂、角化の正常化(皮膚の一番外側にある角質細胞が生まれ、剥がれ落ちるまでの過程)に関わっているビタミンAです。

ビタミンAの代謝。ビタミンAはレチノールやレチナール、レチノイン酸があり、β-カロテンは必要に応じてレチナールに変換される

つまり、ビタミンAには「βカロテン」「レチニルエステル」「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」など様々な種類があるということです。

そして、これらは体内で必要に応じて、必要な形に変化して利用されています。

例えば、動物性食品に含まれる「レチノール」は、必要に応じて視覚に関与する「レチナール」に変化します。また、βカロテンも、必要に応じて視覚に関与している「レチナール」に変わります。

そして、細胞の作り替えや修復が必要なときは、この「レチナール」から最も活性の強い「レチノイン酸」に変えられ、利用されます。もし、レチナールからレチノイン酸に変える必要がない場合は、最も活性の低い「レチノール」に変えておくことも出来ます。

このように、その形によって働きや活性が全く異なるのが、ビタミンAの特徴です。

赤ちゃんは日々大量の細胞の分化分裂を行いながら成長していきますので、最も活性の高い「レチノイン酸」が無いと細胞分裂がうまく出来なくなってしまいます。

もし、妊娠中にビタミンAが不足した場合、むしろ赤ちゃんの成長障害や先天異常を起こしてしてしまうリスクが高くなります。

一方で、もし「レチノイン酸」が体内で過剰に存在していた場合、正常な細胞の分化・分裂がコントロール出来なくなって、奇形のリスクが高まってしまいます。

妊娠初期では主要な器官の元が作られる時期であり、最も薬物や放射線の影響を最も受けやすい時期です。この時期における胎児への過剰なレチノイン酸の影響は、避けなければなりません。

つまり、妊娠中にビタミンAのサプリメントを避けるように言われるのは、レチノールからレチナール、レチノイン酸と変換されるため、この時期にビタミンAが遺伝に対して過剰に働いてしまうと、奇形のリスクが高まってしまう恐れがあるからなんですね。

ナンナン

レチ・・・レチノ・・・レチノインさん・・・❓❓
何だかいきなり難しくなったね・・・💧

はる かおる

ビタミンAの安全性や危険性を理解するためには、このビタミンAの違いを理解することが大切だよ。とりあえず、食品に含まれているビタミンAは大丈夫、お薬に使われているビタミンAは過剰摂取に注意って覚えておくと良いね

妊婦さんがビタミンAサプリを摂っても問題ないと言える理由

とは言え、基本的に食品やサプリメントから「レチノール」「βカロテン」としてビタミンAを摂取する限り、ビタミンAの危険性を心配する必要はありません。 ※ただし、合成のレチノールは除く

この理由は、あるコホート研究(ユーザーを一定条件でグループに分け、それぞれの時間経過に伴う行動の変化を分析する研究手法)の結果において、妊娠中にビタミンA(レチノール)を10,000IU/日以上摂取した群における奇形の発生率は、自然発生率を超えないことが確認されているためです。

妊婦に対しては、ビタミンAの大量摂取を避けるよう言われている。しかし、コホート研究の結果、妊娠中にビタミンAを10,000IU/日以上摂取しても奇形の発生率は自然発生率を超えないことが確認された。

先ほども解説した様に、食品やサプリメントに含まれるビタミンAは活性化前の「レチノール」であり、遺伝子には直接作用しない形です。

レチノールとして摂取した場合、基本的に体内では必要に応じて必要な形に代謝され、利用されています。この代謝は厳密にコントロールされているため、食品からレチノールとしてビタミンAを摂取する限り、ビタミンAの過剰症は心配ありません。

最も活性の強いレチノイン酸は、体内で合成量が厳密にコントロールされている
ビタミンAはそれぞれの種類によって働きが異なる。最も活性の強いレチノイン酸は細胞の増殖・分化をコントロールしているが、この働きは体内で厳密にコントロールされている

加えて、「レチノール」と「レチナール」は体内で必要に応じて相互に変換することができ、体内でビタミンAを運ぶ際や貯蔵する際にも「レチニルエステル」というエステル化(コーティングのようなもの)が行われます。

例え食品からビタミンAを摂りすぎたとしても、体内では「レチナール」を活性の低い「レチノール」にしたり、レチニルエステルという非常に安定性が高い状態にして肝臓に貯えることが出来ます。

そのため、食品に含まれてる自然体の「レチノール」や「βカロテン」をサプリメントで摂ったとしても、基本的に過剰摂取の心配はありません。

ただし、ニキビの薬などお薬で処方されるビタミンA製剤には注意!

ただし、ニキビの薬など医薬品として用いられているビタミンA製剤には注意して下さい。ニキビの治療薬には、活性型の「レチノイン酸」が含まれています。このレチノイン酸は遺伝子に直接作用する形のため、過剰摂取には注意が必要です。

ニキビの治療薬などに使用されているレチノイン酸は、過剰摂取のリスクがあるので注意

この理由は、体内では必要に応じて「レチノイン酸」に活性化して利用されますが、この体内で作られる「レチノイン酸」と薬で用いられる「レチノイン酸」の作用は異なるためです。

例えば、体内でレチノイン酸が生成される場合、その生成量やタイミングは生体の調節機構によって厳密に制御されています。一方、薬など外部から投与される場合は、一度に大量のレチノイン酸が体内に供給されるため、自然な生体調節とは異なる影響を及ぼす可能性が高くなります。

つまり、体内で作られるレチノイン酸は、作られる量や作られた後の分解量、分解するタイミングなどを身体がコントロールできるのに対し、外部から投与したレチノイン酸は、身体がコントロールする事が出来ないんですね。

このため、外部から投与するレチノイン酸の作用と、身体の中で作られるレチノイン酸の作用は、同一視してはななりません。レチノイン酸はレチナールやレチノールへと変換できないことから、薬によるレチノイン酸の大量投与は過剰摂取の危険性があるので注意が必要です。

ナンナン

薬に配合されているビタミンAは摂りすぎると危ないのか・・・

はる かおる

そうだね、ニキビの治療薬などには最も活性が強い「レチノイン酸」が含まれているよ。妊娠期にこのレチノイン酸を摂りすぎた場合、遺伝に対して過剰に働いて奇形のリスクが高まってしまう恐れがあるから注意した方が良いね

ビタミンAサプリの過剰摂取リスク。合成のレチノール、合成のβカロテンには注意!

また、ビタミンAについては過剰摂取の危険性や副作用の報告が言われていることがあります。これについては、同じく食品やサプリメントから「レチノール」「βカロテン」としてビタミンAを摂取する限り、ビタミンAの過剰症を心配する必要はありません。

ただし、サプリメントの中には人工的に合成して作られた「合成のレチノール」や「合成のβカロテン」が含まれている場合があります。このような合成して作られたビタミンAサプリメントには注意して下さい。

レチノールやβカロテンなど、単一の成分のみしか含まれていない合成のビタミンAサプリメントには要注意

ビタミンAの過剰症については、活性型である「合成のレチノイン酸」や「合成のレチノール」「合成のβカロテン」を大量投与した結果であって、決して食品に含まれる自然な形の「レチノール」や「βカロテン」でテストされたものではありません。

ビタミンAの過剰症については、副作用報告の全ては合成のレチノイン酸の大量投与によるもので、決してクルード(自然体の)レチノールでテストされたものでは無い

通常、食品にはビタミンA以外にもビタミンB群やビタミンC、鉄、亜鉛、タンパク質など様々な栄養が同時に含まれています。

また、植物性食品にはβカロテン以外にも、「αカロテン」や「クリプトキサンチン」など様々なカロテノイド類が同時に含まれています。

基本的に、「レチノールだけ」や「βカロテンだけ」など特定の成分だけが大量に含まれている事はありません。

このような特定の成分だけを大量に摂取すると、本来の栄養素の働きとは違った働きをしてしまう可能性があります。

例えば、βカロテンのサプリメントには、大きく分けて「合成されて作られたもの」と「天然の原材料からβカロテンのみを分離・精製したもの」「βカロテンなどカロテノイドが含まれる天然の原材料を濃縮したもの」の3つがあります。

合成されたβカロテンは天然の原材料から製造されたものに比べて高濃度・高純度で不純物が極めて少ないという特徴があります。合成のβカロテンは、天然の原材料が使用されたものよりも安価で販売されています。

一般的に、ビタミンAの中でもβカロテンは安全性が高く、過剰摂取の心配が無いと言われています。これは、体内で必要に応じてβカロテンからレチノールに変換されるためです。

しかし、合成のβカロテンは単品で大量に摂りすぎるとプロオキシダント(酸化促進剤)としての作用が出る恐れがあるので注意が必要です。

βカロテンには強力な抗酸化作用があり、病気の根源となる活性酸素を潰してくれる働きがあります。この時、特定の抗酸化物質が1種類のみが大量に存在していると、逆に活性酸素を発生させるプロオキシダント(酸化促進剤)としての作用が起こることがあります。

通常、食品に含まれる天然のカロテノイドには、オールトランスβ-カロテンの他にもシス体のβ-カロテンやα-カロテン、リコピンなど様々なカロテノイドを含んでいます。何か1種類のカロテノイドだけが大量に含まれているなんてことは基本的にありません。

このような何か特定の1種類のカロテノイドを大量に摂取した場合、他のカロテノイドの吸収や組織での利用を妨げてしまう可能性があります。また、ある種の抗酸化剤が単独で大量に存在すると、条件によっては抗酸化剤としてよりも酸化促進剤として作用してしまう可能性があります。

そのため、ビタミンAを摂取する際や、ビタミンAサプリメントを選ぶ際は、合成で作られたものでは無く、なるべく天然由来の食品に含まれている自然な形で配合されているものを選ぶのがオススメです。

ナンナン

ビタミンAのサプリメントは合成して作られたものがあるのか❗

はる かおる

そうだよ、よくビタミンAの過剰症について注意喚起が行われていることがあるけど、この合成して作られた「レチノール」や「βカロテン」には注意が必要なんだ。

安全なビタミンAサプリの選び方。ビタミンAサプリを選ぶ際は、ここをチェック

上述したように、ビタミンAの過剰症については食品由来の「レチノール」や「β-カロテン」として摂取する限り安全性が高く、過剰に心配したり避ける必要はありません。

逆に妊娠期に過剰にビタミンAの摂取を避け続けると、ビタミンA不足によって胎児の正常な発育が阻害され、早産や胎児の死亡、先天性異常などの合併症を伴うリスクが高くなります。

これは、ビタミンAには細胞の正常な分化・分裂に関与しているため、赤ちゃんの成長にはビタミンAが欠かせないためです。

特に妊娠中は赤ちゃんの成長によってより多くのビタミンAが必要になります。現代の加工食品が多い食生活では、ビタミンAの過剰摂取よりも不足の方がリスクが高いため、むしろ積極的に摂取することが必要です。

では、ビタミンAのサプリメントを選ぶ際は、どのような点に気をつけて選べば良いのでしょうか?

ビタミンAのサプリメントは様々ありますが、合成のレチノールが配合された物や、食品由来の成分から作られた物など様々あります。ビタミンAのサプリメントを選ぶ際は、きちんと食品由来の原材料を使用した質の高いサプリメントを選ぶことがポイントです。

artビタミンAのサプリメントを選ぶ際は、食品由来の原材料から作られたものを選ぶのがポイント

例えば、ビタミンAのサプリメントには、レチノールパルミチン酸エステルが主成分として作られているものがあります。

レチノールパルミチン酸エステルとは、レチノールにパルミチン酸という脂肪酸をエステル加工したものです。エステル化とは、いわゆる「コーティング」のような感じで、エステル加工を行うと成分が安定し、酸素などの影響を受けにくくなります。

レチノールはそのままだと酸素や光に極めて弱いため、レチノールにエステル加工を行うと分子構造が安定して酸化・劣化しにくくなるというメリットがあります。

成分的には牛や豚などの肝臓に含まれる「レチニルエステル」と同様の成分ですが、サプリメントや薬などで使われているレチノールパルミチン酸エステルは、「合成」によって人工的に作られているものが殆どです。

合成によって作られるため、天然の原材料から製造されたものに比べて高濃度・高純度で不純物が極めて少ないという特徴があります。

このレチノールパルミチン酸エステルは、安価で大量に生産出来るため、薬やサプリメントなど幅広いものに使用されています。ただ、基本的に「レチノールパルミチン酸エステル」のみしか含まれていないため、オススメはしていません。

一方で、ビタミンAのサプリメントには、タラ肝油を主原料とした食品由来の天然成分から作られているものがあります。

この魚油には元々、レチノール以外の成分(DHA・EPAや重金属)などが多く含まれているため、そのまま濃縮すると不純物が多くてとてもサプリメントとしては使用できません。

そこで、特殊な製法を用いてレチノールを効率よく分離・精製を行う必要があります。現在、この分離・精製には、主に「分子蒸留加工」という加工によって行われています。

分子蒸留加工は、比較的安価で大量に製造できるというメリットがあり、魚油に分子蒸留加工を行うとレチノールとDHA・EPAのサプリメントも同時に製造できるので、一石二鳥の製造方法です。

ただし、効率よく不純物とレチノールを分離出来る反面、高濃度・高純度でレチノール以外の不純物が殆ど入っていないというデメリットがあります。安価で高純度ですが、本来の食品成分とはかけ離れているため、分子栄養学の実践での使用はオススメしません。

通常、レチノールが含まれている魚の肝臓には、レチノール以外にもDHAやEPA、アラキドン酸など様々な栄養素が含まれています。栄養素は様々な栄養と協力しながら働いているため、食品に含まれている本来の状態で摂取する方が理想的です。

そこで、魚油本来の「天然の形」に近いビタミンAや栄養素を保持するためにも、精製方法は「冷間ろ過(ウィンターライゼーション)」など、熱や化学薬品を使わずにゆっくりと精製したものを選ぶのがオススメです。

ウィンターライゼーションとは、脂肪酸の性質を利用した物理的な精製方法です。魚油などの油をゆっくりと冷却し、凝固点の違いを利用して不要なワックス分や飽和脂肪酸などを結晶化させて取り除きます。化学薬品や高熱を使わないため、魚油に含まれる様々な有益な栄養素を残したまま、本来の「天然の形」に近いビタミンAや栄養素を保持出来ることがメリットです。

また、レチノールは酸素や光に極めて弱く、適切な加工を行わないと酸化・劣化して効力を失ってしまいます。レチノールが酸素や光によって分解されないよう、適切な加工が行われているものを選ぶ事がポイントです。

この他、βカロテンについても、合成で作られたβカロテンのみが含まれているものと、天然由来の原材料である藻などの色素から抽出したものなどがあります。

カロテノイド類はお互いが助け合って働くため、αカロテンやβカロテン、クリプトキサンチンなど食品に含まれている本来の状態で配合されているものを選ぶのがポイントです。

具体的な例で言えば、ビタミンAサプリメントの使用原材料に「タラ肝油」や「ヘマトコッカス藻色素」など、天然由来の食品原材料が使用されているかどうかをチェックしてみてください。

また、含まれている成分は、βカロテンやαカロテン、リコピンやルテインなどのカロテノイド類が複合体として配合されているか、使用されているタラ肝油にはDHA・EPAが含まれているかどうかも要チェックです。

このような食品由来の天然成分から作られているサプリメントなら、食事から摂る栄養素と変わらない形で栄養素を摂取することが出来ます。

ビタミンAサプリメントにもピンからキリまでありますので、選ぶ際は是非このようなポイントを抑えて選んでみて下さい。

ナンナン

なるほど・・・食品に含まれている本来の状態で配合されているビタミンAサプリなら、リスクが少ないんだね

はる かおる

そうそう。ビタミンAのサプリは、食品由来の天然成分から作られているサプリほど高くなる傾向にあるよ。ビタミンAサプリを選ぶときは、合成品よりも天然由来の原材料が使用されているのを選ぶのがオススメなんだ

妊娠期のビタミンA、摂った方がいい? それとも危険? 安全なビタミンAと危険なビタミンAの違い、ビタミンAサプリメントの選び方まとめ

以上が、妊娠期のビタミンAは摂った方が良いのかと、ビタミンAの危険性、サプリメントの選び方についてでした。

ビタミンAは、一言で言っても様々な種類があり、それぞれ活性も働きも全く異なります。体内では、必要に応じて変換して使われているため、食品に含まれているビタミンAを摂取する分には安全です。

一方で、ニキビの治療薬などお薬として使われている活性型のビタミンAの場合は、レチノイン酸が配合されているので注意して下さい。

また、ビタミンAサプリメントの質も、合成のものから食品由来の天然成分が配合されているものまでピンからキリまであります。ビタミンAの過剰リスクにおいては、食品に含まれているビタミンAを摂取する限りは安全です。

ただし、ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、どれくらい必要でどれくらい吸収されるかどうかは人によって異なります。加えて、ビタミンAが働くためには、他にもタンパク質やビタミンB群、ビタミンD、亜鉛など他にも栄養摂取が必要です。決して、安易な自己判断による分子栄養学アプローチは行わないようにして下さい。

正しいオーソモレキュラー療法では、それぞれの消化吸収能力を考慮したり、病態を考慮したりと、個人個人に合わせた最適な栄養アプローチ(至適量)を行います。そして、この使用するサプリメントは何でも良いというわけではなく、きちんと消化吸収などが考慮されたオーソモレキュラー療法実践専用サプリメントを使用する事が大切です。

分子栄養学やオーソモレキュラー療法というと単にサプリメントを飲むだけの療法だと思われがちですが、単にサプリメントを飲んだだけでは正しい分子栄養学は実践できません。血液検査などを通じ、自分の身体の状態をよく知り、自身にあった分子栄養学的アプローチを行ってくことが必要です。

オーソモレキュラー療法の申し込み方法については、オーソモレキュラー療法・無料栄養相談申し込みページ で詳しくご案内しておりますので、

また、分子栄養学について学んだら、次に大切なのはその知識を自分にどう活かすかを考えることです。
ご興味ある方は是非こちらもご覧下さい。

分子栄養学を「自分に合わせる」ために、まず自分を知る。
オーソモレキュラー療法の血液検査・栄養相談のご案内

KYBメディカルレポートのイメージ
KYBメディカルレポートのイメージ

分子栄養学では、「一般的には何が良いのか」を知るだけでなく、「自分の身体では今、何が起きているのか」を知ることも大切です。

同じような食生活や症状であっても、栄養状態、血糖代謝、炎症、消化・吸収、身体活動、生活習慣などの背景は人によって異なります。

そのため、「鉄が気になるから鉄を摂る」「疲れているからビタミンBを増やす」というように、症状と栄養素を単純に結びつけるだけでは、その人に合った実践にならないことがあります。

検査は「答え」ではなく、自分を知るための材料です

KYBメディカルサービスのK01初診スクリーニングでは、血液・尿・唾液を用いた69項目の検査から、タンパク質、糖代謝、脂質、血球、炎症、各種酵素、ミネラル、腎・尿関連項目など、身体を考えるためのさまざまな情報を確認します。

必要に応じて、甲状腺、糖代謝、骨代謝、胃腸機能、脂肪酸、酸化脂質などに関連するオプション検査を組み合わせることもできます。

ただし、検査値だけで身体のすべてが分かるわけではありません。食事、運動、睡眠、ストレス、服薬、生活環境なども含めて考えることで、検査結果をより実践に活かしやすくなります。

人を分子栄養学に合わせるのではなく、分子栄養学をその人に合わせる

検査結果が分かったからといって、全員が同じ食事・運動・サプリメントを実践するわけではありません。

大切なのは、検査で得られた情報を、その人の身体・生活・目的・価値観に合わせて活用することです。

例えば、運動不足が身体の状態に関係しているのであれば、栄養素を補うことだけでなく、無理なく運動を取り入れる方法を考える必要があります。そして、運動を行うためのエネルギーや、筋肉・身体づくりを支える栄養を整えていく。

このように、何のために健康になりたいのかを考え、その目的を実現するために分子栄養学を活用することを、私たちは大切にしています。

KYBメディカルサービスでは、検査結果をもとに専門チームが解析を行い、栄養状態や身体の状態を考えるためのレポートを作成します。レポートには、検査結果の見方や、食事・栄養補給等を実践する際の参考情報がまとめられています。

「自分の場合はどう考えればいいのだろう?」と思ったときは、検査で自分の状態を確認することも一つの方法です。

分子栄養療法ナビでは、KYBメディカルサービスの血液検査や栄養相談についてご案内しています。検査内容や費用、実際に受けるまでの流れをご確認いただいたうえで、ご検討ください。

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