分子栄養学で「自分を知る」とは?血液検査と一緒に見たい身体と生活の情報

分子栄養学を自分に合わせて実践するためには、まず「今の自分がどのような状態なのか」を知る必要があります。
自分の状態が分からないままでは、SNSで見つけた食事法や、誰かが良くなったサプリメント、AIから得られたアドバイスが、本当に自分にも必要なのか判断することができません。
前回の記事では、分子栄養学を「自分に合わせる」とはどういうことなのかについて解説しました。
その出発点になるのが、今回のテーマである「自分を知ること」です。
分子栄養学の実践では、一般的に血液検査を用いて身体の状態を判断します。しかし、オーソナライズでいう「自分を知る」とは、血液検査の数字だけを知ることではありません。
身体、症状、体組成、食事、消化、睡眠、活動量、病歴や服薬、家族歴、ストレス、生活環境など、さまざまな情報を組み合わせながら、今の自分を立体的に理解していきます。
今の身体はどのような状態なのか。どのような生活をしているのか。どのような背景があり、何に影響を受けているのか。そうした情報を組み合わせながら、オーソナライズに必要な自分という人間を立体的に理解していく事について解説します。
ナンナン今の自分がどのような状態なのを知る❓❓
栄養療法なんて、症状が分かればアプローチもほぼ決まるもんじゃないの❓



SNSやネットの情報では、症状に対して「この栄養素」みたいに書かれている記事をよく見かけるね。でも、症状だけでは自分に合った分子栄養学のアプローチは出来ないんだ



そうなんだ💧
じゃあ、やっぱり血液検査を受けて、足りない栄養を教えて貰った方が良いんだね。



いや、血液検査だけで自分の状態を詳しくすることは出来ないよ。
血液検査の他にも、体組成や遺伝的な素因まで広く見る必要があるんだ。このあたり、詳しく教えてあげるね。
「自分を知る」とは、何を知ることなのか?


「自分を知る」と聞くと、血液検査の結果を確認したり、体重を測ったりすることを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それらも自分を知るための大切な情報です。しかし、人の身体は一つの数字や一つの症状だけで説明できるほど単純ではありません。
例えば、「最近疲れやすい」という一つの症状があったとします。
その背景には、食事量が足りていない、睡眠時間が短い、仕事が忙しく活動量が増えている、胃腸の調子が悪く十分に食べられていない、月経による変化がある、服薬の影響がある、あるいは何らかの病態が関係しているなど、さまざまな可能性があります。
このとき、「鉄が不足していると疲れやすくなるから鉄を摂ろう」と一つの症状からすぐに答えを決めてしまうのではなく、その人の身体や生活を少し広い視点から見ていくことが大切です。
旅行でも、目的地だけが分かっていて現在地が分からなければ、どの道を進めばよいのか決められませんよね。
これは健康づくりも同じです。「もっと元気になりたい」「身体を引き締めたい」「疲れにくくなりたい」という目標があっても、今の自分がどこにいるのか分からなければ、自分に合った方法を選ぶことは難しくなります。
そこで必要となるのが、オーソナライズにおける「自分を知る」というステップです。オーソナライズでは、大きく分けて「身体」「毎日の生活」「医療や家族歴などの背景」「ストレスや生活環境」「客観的な検査データ」という複数の視点から、自分の現在地を見ていきます。
①身体そのものを知る。 症状・体感、体格・体組成・年齢・性別・ライフステージ、消化・吸収の状態など
オーソナライズを行う上で、まず見るべきなのは自分の身体そのものです。
どのような症状を感じているのか、どのような体格なのか、筋肉や体脂肪はどのくらいあるのか、そして食べたものを消化・吸収できる状態なのか。こうした情報は、現在の身体を理解するための基本になります。
また、疲れやすい、冷える、頭痛がする、朝起きるのがつらい、食後に眠くなる、空腹になると調子が悪くなる、集中しにくいなど、日常で自分が感じていることも、分子栄養学を自分に合わせるためには重要な情報です。
女性であれば、月経前になると体調が変化する、月経中に強い疲労感がある、更年期に入ってから睡眠や気分が変わったといったことも、自分の状態を考える材料になります。
ただ、症状だけで自動的に分子栄養学のアプローチが決まるわけではありません。症状は「原因そのもの」ではなく、身体から現れている一つのサインです。
例えば「疲れやすい」という症状だけでも、睡眠不足、エネルギー不足、鉄を含む栄養状態、ストレス、活動量、感染症やその他の疾患など、背景にはさまざまな可能性があります。
そのため、症状などの情報を大切にしながらも、症状だけで答えを決めないという姿勢が必要です。
体格・体組成・年齢・性別・ライフステージ
オーソモレキュラー療法では、血液検査の結果以外にも、身長、体重、BMIだけではなく、筋肉量、体脂肪量、除脂肪体重、内臓脂肪など、身体の中身を見ることも重要です。
例えば、同じ体重60kgの人が2人いたとしても、一人は筋肉量が多く、もう一人は体脂肪の割合が高いかもしれません。体重という一つの数字が同じでも、身体の状態は大きく異なります。
さらに、20代と70代、成長期と成人期、妊娠・授乳期、更年期などでは、身体が置かれている状況も異なります。
つまり、「何kgあるか」だけを見るのではなく、どのような身体を持ち、今どのライフステージにいるのかまで含めて考えることが大切です。
そして、食べているものだけでなく、その食事を身体が受け取れる状態なのかも見ていきます。
例えば、良質なタンパク質を十分に食べようとしていても、少量ですぐにお腹いっぱいになる、肉を食べると胃もたれする、食後にお腹が張る、下痢や便秘が続いているという状態であれば、「どれだけ食べたか」だけでは身体の状態を説明できません。
食欲、食べられる量、咀嚼、胃もたれ、腹部膨満、便通などを確認することで、栄養を身体へ届ける前段階に問題がないかを考えることができます。
これはつまり、「栄養を摂っていること」と「その栄養を身体で利用できること」は別の問題であるということです。
「この栄養が足りない」と聞くと、その栄養だけを大量に補給すれば栄養が足りるように思いますが。実際には栄養は消化・吸収され、体内で利用されなければ意味がありません。
そのため、食事やサプリメントの量だけではなく、消化・吸収の状態まで含めて見ていく必要があります。



まずは、体格や年齢なんかの個体差を見る情報が必要なのか



そうだね。同じ血液検査の数値でも、年齢や体格、性別などで意味が違ってくるよ。自分に合った考察をするためにも、まずは個体差を見る事が大事なんだ
2.毎日の生活を知る。食事、睡眠、活動量・運動量など
続いて、食事内容や睡眠、活動量や運動量など毎日の生活を知ることの重要性です。
身体は、毎日の生活から大きな影響を受けています。何を食べているか、どれくらい眠っているか、どの程度身体を動かしているか。こうした日常の積み重ねを見ることで、検査結果や症状だけでは分からない背景が見えてくることがあります。
食事を見るときは、一日にどのくらい食べているのか、何回食べているのか、朝食を抜いていないか、夕食が深夜になっていないか、間食や飲酒はどのくらいあるのか、外食が多いのかといった食生活全体を見ます。
ただ、この時は「野菜を食べているか」「タンパク質を摂っているか」といった食品だけを見るわけではありません。
例えば「魚を食べるとよい」と分かっていても、仕事で帰宅が遅く調理する時間がほとんどない人に、毎日魚料理を作る方法を提案しても続かないかもしれません。
また、家族と同じ食事をする必要がある人と、一人暮らしで自分だけの食事を自由に選べる人では、現実的な方法は違います。
食事は栄養素だけでなく、その人が実際にどのように食べているかまで見ることが重要です。
他にも睡眠では、単に「何時間寝ているか」だけではなく、寝つき、中途覚醒、起床時の状態、就寝・起床時刻、夜勤の有無、平日と休日のリズムなどを見ます。
例えば7時間ベッドに入っていても、夜中に何度も目が覚めている人と、朝までよく眠れている人では、同じ「7時間睡眠」でも状態は違います。
また、仕事が忙しく就寝時刻が毎日違う、夜勤と日勤を繰り返しているといった生活背景も、身体を見るうえでは重要です。
睡眠は食欲、活動量、気分、ストレスなどとも関係するため、他の情報と切り離して考えないようにすることが大切です。
運動についても、「ジムへ週2回行っている」といった運動習慣だけではなく、一日の総活動量を見ていきます。
例えば同じ週2回の運動をしている人でも、競技内容や練習量、頻度などによって身体が必要とするエネルギーや消耗する栄養素の量も違ってきます。また、普段から立ち仕事をして一日中動き回っている人と、在宅勤務でほとんど椅子に座っている人では、身体が必要とするエネルギーや休養の程度も違ってきます。
このため、「運動しているか、していないか」という二択ではなく、自分が一日の中でどれくらい身体を使っているのかを見て、身体が必要とするエネルギーや消耗する栄養素の量を考慮していくことが大切です。
3.病歴・治療・服薬や家族・親族の病歴など、自分の背景を知る
現在の身体だけを見るのではなく、現在治療している疾患、これまでに経験した病気、手術歴、服用している処方薬や市販薬、サプリメントなどを確認し、これまでどのような病気や治療を経験してきたのか、どのような薬を使っているのか、家族や親族にどのような疾患が多いのかといった背景を把握しておくことも、オーソナライズでは重要です。
例えば、一般的には摂取が勧められる栄養素でも、疾患や薬との組み合わせによっては摂取量に注意が必要になることがあります。
また、体調不良を何でも「栄養不足」と考えてしまうと、本来必要な医療を受けるべき機会を逃してしまう可能性があります。
分子栄養学は医療の代わりになるものではありません。必要な場合には医師などの専門家と連携しながら、栄養について考えることも大切です。
この他、自分自身の病歴だけでなく、両親、兄弟姉妹、祖父母など、近い親族の病歴も重要な情報になります。
例えば、近い親族に糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、骨粗鬆症、特定のがんなどが多い場合、遺伝的な素因が関係している可能性を考える材料になります。
一方で、家族内で同じ疾患が多いからといって、すべてが遺伝で決まるわけでもありません。家族では、食事の好み、運動習慣、飲酒、喫煙、生活リズムなどの環境も共有していることが多いため、生活習慣など環境的な遺伝の傾向も考慮するポイントになります。
家族歴・遺伝傾向は、「自分も必ず同じ病気になる」と考えるための情報ではありません。
自分にはどのような素因・傾向があるかを考え、今後どの部分を注意して観察していくとよいかを知るための材料として利用していくことが大切です。



家族歴、遺伝傾向まで見るの❗❓



そうだよ。病気は遺伝素因も関わっているし、家族と過ごしてきた生活習慣や食生活なんかも関わっているから、自分の状態や傾向を知る上で重要な手掛かりになるんだ
4.ストレスや生活環境を知る
この他、同じ身体の状態であっても、その人が置かれている環境によって、現実的にできることは大きく変わります。そのため、自分の内側だけでなく、自分がどのような環境の中で毎日を過ごしているのかを見ることも必要です。
例えば、忙しくなると食事を抜いてしまう人もいれば、反対に間食が増える人もいます。疲れていても休めない人、何でも完璧にしようとしてしまう人、人に頼ることが苦手な人もいます。
どのような出来事をストレスに感じやすいか、そのときに自分がどのような行動を取りやすいかを見ていくことで、栄養を消費しやすい傾向か、不足しやすい傾向かどうかが分かります。
そして、自分がどのような場面で生活習慣を崩しやすいのか、どのような方法なら無理なく続けられるのかを考えていくことが大切です。
加えて、家族構成、職業、勤務時間、住んでいる地域、気候、食材へのアクセス、自由に使える時間、経済的な負担なども、自分に合った方法を考えるうえで欠かせません。
例えば、子育て中で家族全員の食事を作っている人に、「自分だけ別の食事を毎食作りましょう」と提案しても現実的ではないかもしれません。
夜勤のある仕事では一般的な食事時間や睡眠時間をそのまま当てはめることが難しいこともあります。
また、沿岸部と山間部、都市部と地方では、手に入りやすい魚介類や野菜、利用できる店舗なども異なります。暑い地域と寒い地域では、季節ごとの生活パターンも違います。
つまり、理論上「理想的な方法」であることと、その人の生活の中で実際に続けられる方法であることは同じではありません。
自分を知るとは、身体の中だけではなく、自分がどのような生活や環境の中にいるのかを知ることでもあります。
オーソナライズでは、これら自分の状態や生活、環境を知り、分子栄養学を自分に合わせていくことがポイントです。



なるほど、住んでる地域やストレスの状態なんかでも、人によってアプローチが変わってくるのか



そうだね。住んでる地域や、仕事の内容、家族構成など様々な要因で、何がやりやすくて何がやりにくいとかが変わってくるよ。
大切なのは、SNS上の誰かがオススメしている方法を自分に当てはめるのではなくて、自分はどうか?を考えて自分に合わせていくことが大切だよ
5.検査など、客観的な情報から自分を知る


最後に、オーソナライズの最も基本となるのが、血液検査、尿検査、便検査、唾液検査、骨密度検査、超音波検査、体組成測定などの客観的な情報です。
ここまでの症状、食事、睡眠、ストレス、生活習慣などの情報は、自分自身を知るためにとても重要な情報ですが、自覚症状だけでは分からない身体の変化もあります。
自覚症状と必ず合わせて見るべきなのが、血液検査などの客観的な情報です。血液検査などの検査結果を見ることで、どの栄養がどのくらい不足しているのか、積極的に補った方が良いのかなどが分かります。
例えば、骨粗しょう症の検査では骨の状態を見ることでカルシウム・マグネシウム、ビタミンKなどの充足度などを客観的に判断する事が出来ます。
血液検査だけでは分かりにくい腸内環境の状態も、「短鎖脂肪酸検査」という便検査を行う事で、腸内細菌叢のバランスや健康度を可視化することが出来ます。
これら検査結果を参考にすることで、より自分に合った栄養アプローチを行う事が可能です。とはいえ、検査は、「栄養を摂れば治る部分を探す物」ではありません。あくまで、身体をある角度から観察するための道具になります。
そのため、「何を知りたいのか」に応じて検査を選び、症状や生活、体組成など他の情報と組み合わせて考えることが大切です。
血液検査|身体の内側で起きている変化を考える
特に、血液検査は、分子栄養学でもよく利用される客観的な情報の一つです。
赤血球や白血球などの血球成分、血糖、脂質、タンパク質、肝臓や腎臓に関連する項目、酵素、電解質、鉄代謝に関連する項目など、さまざまなデータを見ることができます。
例えば、本人は「特に不調はない」と感じていても、血液検査をすると以前とは違う変化が見つかることがあります。反対に、強い疲労感があったとしても、血液検査だけではその原因を一つに特定できないこともあります。
そのため血液検査は、身体の内側で何が起きている可能性があるのかを考えるための材料として利用します。また、オーソモレキュラー療法の基本血液検査セットでは、尿検査・唾液検査、体組成もセットで測定します。
この理由は、血液検査だけでは臓器の状態や組織の状態など、必要な情報が全て分かるわけではないためです。
例えば、尿は血液から作られているため、尿の状態を調べることで尿として排泄されている成分や血液検査だけでは分からない臓器の状態も把握することが可能です。
一般的な尿検査では、尿タンパク、尿糖、潜血、ケトン体、pH、比重などを調べることがあり、尿タンパクや潜血は腎臓や尿路の状態を考える手掛かりに、尿糖やケトン体は糖代謝やエネルギー代謝の状態を考える材料になる場合があります。
また、尿比重などからは、水分摂取や尿の濃縮状態について考えることもできます。
血液が「体内を循環している状態」を見るのに対し、尿は身体から何が排出されているのかという別の方向から身体を観察できる検査です。
この他、血液検査だけでは分からない口腔内の状態を把握するために、唾液を利用した検査もあります。
例えば虫歯や歯周病があると、口内環境が悪化して唾液中乳酸脱水素酵素や唾液中ヘモグロビンなどの数値が上昇することがあります。数値の上昇が一概に歯周病だと決めつけることは出来ませんが、歯肉の炎症や出血などの自覚症状と合わせてみることで、より詳しい傾向が掴めます。
歯周病の進行は歯の健康状態に直結し、消化・吸収能力にも影響を及ぼします。また、歯周病菌の出す毒素は、全身に回って炎症を発生させ、糖尿病を悪化させるなど全身疾患にも影響があると言われています。
そのため、全身の健康状態を知る上で、血液検査と合わせて口腔内の状態も把握、必要に応じてケアしていくことが必要です。
これらに加え、オーソモレキュラー療法では体組成測定も同時に行っています。体組成を図ることで、血液検査だけでは分からない体重や筋肉量、体脂肪量、除脂肪体重、内臓脂肪などを見ることができます。
では、なぜ血液検査と体組成は同時に見る必要があるのでしょうか?
それは、血液検査の数値に大きな変化がなかったとしても、筋肉量が増え、体脂肪量が減っていれば、身体全体としては変化が起きている可能性があるためです。
逆に、血液検査の数値が良くなっているように見えても、体重が必要以上に減っていたり、筋肉量まで大きく減っていたりするのであれば、自分が目指していた変化とは違うかもしれません。
このように体組成は、血液検査と共に身体が実際にどのような構成へ変化しているのかを見るための情報になります。
骨密度検査|骨がどの程度保たれているかを見る
体組成と同じく、場合によっては骨の状態を知ることも重要です。骨の健康と全身の健康状態は繋がっているため、骨の状態が悪くなることで腎機能が悪くなったり、糖代謝などが悪化したりしていく原因になったりします。
そのため、特に閉経後の女性は骨粗しょう症を始めとした骨の健康状態にも注意が必要です。
一般的に家庭用体組成計では「骨量」を測定することが出来ますが、この骨量は医療機関で測定する骨密度は別のものです。骨量が十分であることと、骨密度が十分にあるかはイコールではありません。
骨粗鬆症などの評価には、医療機関で行われる適切な骨密度検査が必要です。代表的なものにDXA法(デキサ法)などがあり、骨密度を測定して骨粗鬆症や骨折リスクを評価する際に利用されます。
骨の健康というとカルシウムを思い浮かべる方も多いと思いますが、骨はカルシウムを摂っているかどうかだけで決まるものではありません。年齢、性別、ホルモン、運動、体重、栄養状態、服薬など、さまざまな要因が関係します。
そのため、「カルシウムを摂っているから大丈夫」と考えるのではなく、必要に応じて実際に骨がどのような状態なのかを確認することが大切です。
超音波検査(エコー)|臓器の「形」や構造を見る
もう一つ、血液検査だけでは分かりにくい情報を得る方法として、超音波検査(エコー)があります。
腹部エコーでは、肝臓、胆のう、腎臓などの臓器を観察し、脂肪肝、胆石、臓器の形態変化などを確認するために利用されます。また、目的によっては甲状腺、心臓、血管などにも超音波検査が利用されます。
例えば、肝臓に関連する血液検査の数値が上がっていた、というだけでは肝臓の形態や脂肪の蓄積などは十分に分からないことがあります。
血液検査が身体の機能や代謝の変化を考える材料になるのに対し、画像検査では臓器の形や構造を確認するという別の情報が得られます。
そのため、血液検査の数値だけで判断せず、必要に応じて画像検査も適切に併用することが大切です。
短鎖脂肪酸検査|腸内細菌による代謝の一端を見る
血液検査や体組成だけでは分からない物に、腸内の健康状態があります。腸内環境は栄養の吸収状態にも直結するため、全身の状態を知る上で欠かせません。
腸内環境を詳しく調べる検査の中には、便などを用いて短鎖脂肪酸を測定するものもあります。短鎖脂肪酸とは主に腸内細菌が食物繊維などを発酵する過程で作られるもので、酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあります。これらの産生量やバランスを見る事で、腸内細菌叢の健康状態が把握できる仕組みです。
そのため、短鎖脂肪酸を調べることで、腸内細菌による発酵や代謝がどのように行われているのかを考える手掛かりになることがあります。
ただし、便中の短鎖脂肪酸量は、腸内で作られた量だけでなく、腸管でどれくらい吸収されたか、便の通過時間、食事内容などの影響も受けます。
そのため、「酪酸が少ないからこの病気」といった単純な判断はせず、食事、便通、症状、その他の検査結果などと一緒に見ることが必要です。
「自分を知る」とは、たくさんの情報を集めることが目的ではありません
ここまでさまざまな検査を紹介しましたが、すべての人がすべての検査を受ける必要があるわけではありません。
むしろ大切なのは、
- 何を知りたいのか
- 現在どのような症状があるのか
- 家族歴や病歴から何に注意する必要があるのか
- 今取り組んでいることの結果を何で確認するのか
を考えたうえで、目的に合った検査を選ぶことです。
例えば骨粗鬆症のリスクを知りたいのに、血液検査だけを何度も受けていても十分ではないかもしれません。
腸管の状態を詳しく考えたいのであれば、症状や食事、便通などと合わせて、必要に応じた便検査などが参考になる場合があります。
「何か検査を受ければ必要な栄養が分かる」と考えるのではなく、自分が知りたいことに対して、どの検査からどの情報を得るのかを考えることが重要です。
大切なのは、一つの情報だけで自分を決めつけず、複数の情報を組み合わせることで「今の自分はどのような状態なのか」を理解することです。
症状、体組成、食事、睡眠、活動量、病歴、家族歴、生活環境といった日常の情報に、必要な検査から得られる客観的な情報を重ねることで、自分の状態をより多面的に見ることができます。
そして、その現在地が分かるからこそ、次に「では、自分には何が必要なのか?」を考えられるようになります。知りたいことが違えば、必要になる検査も違います。
検査値だけを見るのではなく、検査値も含めて「その人」を見る。
そして、一つの検査だけを見るのではなく、目的に応じて複数の情報を組み合わせる。
これが、分子栄養学を誰かの方法のコピーではなく、自分に合わせて使っていくための出発点になります。



なるほど、血液検査以外にも、骨の状態や腸内環境、口腔内の状態とか、色々見ないといけないんだね



栄養療法というと血液検査の特定の数値を見て「アレが足りない」「これを摂った方が良い」みたいにイメージされるけど、実際には血液検査のデータだけでは不十分なんだ。人によって必要な検査を合わせて、全身を見ていく事が大切だよ
一つの情報だけで「自分」を決めつけないことが大切
自分を知るときに大切なのは、一つの症状、一つの検査値、一つの体組成データだけで結論を出さないことです。
例えば「最近とても疲れる」という症状があったとしても、その背景には、睡眠不足、食事量の低下、消化・吸収の問題、活動量、ストレス、疾患、服薬など、さまざまな要因が考えられます。
そこで「鉄が不足すると疲れやすくなるから鉄を摂ればよい」と一つの栄養素だけに結びつけてしまうと、本当の原因から離れてしまう可能性があります。
そのような一つの症状から一つの答えを探すのではなく、複数の情報を組み合わせて身体全体を見ることが重要です。これが、自分を知るための基本になります。
「点」ではなく、「つながり」と「時間」で自分を見る
例えば、それぞれの検査データや自覚症状などの情報は独立しているわけではありません。睡眠不足が続いて朝食を食べにくくなり、日中の食生活が乱れ、疲労感が増えて活動量も減っていく、といったことがあります。
食事、睡眠、活動量、ストレス、消化などは互いに影響し合っているため、「どこが悪いのか」を一つだけ探すのではなく、「どのようにつながっているのか」を見ることが大切です。


もう一つ重要なのが、経時的な変化です。
現在の数字を一回だけ見るのではなく、3か月前、半年前、1年前と比較することで、「どちらの方向へ変化しているのか」が見えてきます。
例えば、ある検査値が基準範囲内にあったとしても、検査をするたびに少しずつ低下しているのであれば、その推移には注意を向ける価値があります。
体重や筋肉量についても同じで、いくら血液検査のデータが良く見えても、体重や筋肉量が大幅に低下しているようであれば健康な状態とは言えないかもしれません。
そのため、「今どこにいるのか」だけでなく、「どこから来て、どちらへ向かっているのか」を見る。この視点が、自分の変化に早く気づくために役立ちます。
血液検査と体組成を同時に見る重要性
自分の身体を知るうえで、血液検査と体組成はそれぞれ異なる情報を与えてくれます。
血液検査では、血液中の成分、血球、脂質、タンパク質、酵素、代謝産物などから、身体の内側で起きていることや臓器機能などを考える材料が得られます。
一方、体組成では、体重だけでは分からない筋肉量や体脂肪量、除脂肪体重など、身体が実際にどのような構成になっているのかを見ます。
つまり、この2つはどちらか一方だけで十分というより、異なる角度から身体を見る、補完的な情報と考えることができます。


例えば、血液検査のある項目に大きな変化がなくても、筋肉量が増え、体脂肪が減り、運動能力が向上していることがあります。
この場合、血液検査だけを見て「何も変化していない」と判断すると、身体全体で起きている変化を見落としてしまうかもしれません。
反対に、血液検査、体組成、体調のいずれにも望ましい変化が見られない、あるいは悪化傾向が続いている場合には、食事量、消化・吸収、活動量、栄養需要、ストレス、疾患など、別の要因を改めて検討する必要があります。
重要なのは、一つのデータだけで判断するのではなく、複数の情報がどのように変化しているのかを一緒に見ることです。



つながりと、時間を同時に見る❓❓
どういうこと❓



つまり、一回測っただけではその時の状態しか分からないから、継続して測ってみていくことで、どこに向かっているのかが分かってくるんだ。特に、血液検査と体組成はリンクしているから、これらも継続してみていくことが大切だよ
日々記録するから、変化の兆しに気づける
記録は、調子が悪くなってから始めるだけでは十分ではありません。
体組成、体調、睡眠、活動量などを普段から継続的に記録しておくことで、「いつもと比べてどう変わっているか」を判断できるようになります。
例えば、少しずつ体重が減っている、筋肉量も一緒に減っている、検査をするたびにある項目が徐々に低下している、といった変化は、一回だけの測定では気づきにくいものです。
変化の方向を早い段階で把握できれば、「なぜだろう?」と原因を考えたり、必要な対策を検討したりしやすくなります。
血液検査についても同様で、一回の数値だけではなく、必要に応じて経時的な変化を観察することが重要です。
体組成は、日々の変化を記録する
特に、体組成については、「調子が悪くなったときだけ測る」のではなく、普段から継続して記録しておくことが大切です。
日々のデータが蓄積されているからこそ、体重、体脂肪、筋肉量などが、どの方向へ変化しているのかを見ることができます。
例えば体重が少しずつ減っているときに、体脂肪だけでなく筋肉量まで一緒に低下していることに気づけば、「この減り方でよいのだろうか?」と早い段階で考えることができます。
逆に体重はあまり変わっていなくても、体脂肪が減り、筋肉量が増えているのであれば、身体の中身は大きく変化している可能性があります。


ダイエットでも「体重」だけを見ない
ダイエットは、体組成を見る重要性が分かりやすい例です。
例えば体重が3kg減ったとしても、その多くが筋肉の減少によるものであれば、本当に目指していた身体に近づいているとは限りません。
一方で体重はほとんど変わっていなくても、体脂肪が減り、筋肉が増えて身体が引き締まっていることもあります。
だからこそ、「何kg減ったか」だけではなく、「身体の中身がどう変わったか」を見ることが重要です。
家庭用体組成計では、水分量や測定条件などによって数値が変動します。
一日の変化に一喜一憂するのではなく、できるだけ同じ条件で測定し、長期的な傾向を見ることが重要です。
また、家庭用体組成計の「骨量」は推定値であり、骨粗鬆症などを評価する骨密度検査とは異なります。



継続して記録して推移を見る、かぁ・・・💧
何だか面倒くさいかも💦



そう思う気持ちは分かるけど、健康管理は長期的な傾向を見ていく事が何よりも大切なんだ。この時、短期的な数値の変化に一喜一憂しないことが大事だよ。淡々と習慣化することがポイントだね
数字を良くすることが、最終目標とは限らない
ここで、注意してほしいことがあります。それは、数字をよくすることが最終目標とは限らないということです。血液検査や体組成を記録していると、数字を良くすることそのものが目的になってしまうことがあります。
しかし、その数字は本来、自分が目指している状態へ近づいているかを確認するための「指標」でしかありません。大切なのは、数字をよくすることそのものが目的にならないようにすることです。
「夏に水着を着たい」を例に考えてみる
例えば、「夏に海で水着を着たいから痩せたい」と考えたとします。すると、「体脂肪率を下げる」という目標を設定するかもしれません。
しかし、本当に目指しているのは、数字としての体脂肪率そのものではなく、水着を着たときに自分が納得できるプロポーションになることではないでしょうか。
その目的を達成するためには、単に体脂肪を減らすだけではなく、筋肉を適切につけることや、必要な筋肉を維持しながら身体を引き締めることも重要になります。
体脂肪率を下げることは「指標」。
自分が望む身体や生活を実現することが「目的」。


検査値を改善することも、体重を減らすことも、サプリメントを飲むことも、完璧な食事をすることも、それ自体が人生の最終目的ではありません。
これらは、自分が目指す状態へ近づくために使う指標や手段です。目標を達成するために身体全体を見る。そのために分子栄養学を使う。これが、オーソナライズで大切にしている考え方です。
検査→実践→観察→再評価を繰り返す重要性
オーソモレキュラー療法の血液検査や、「自分を知る」は、一度検査を受ければ終わるものではありません。
身体も生活も、時間とともに変化します。そのため、
- 現在の状態を知る
- 必要なことを実践する
- 体調や体組成の変化を観察する
- 必要な時期に検査をする
- 以前の自分と比較する
- 実践方法を調整する
という循環を繰り返すことが重要です。


例えば、今回受けた検査で問題が無かったとしても、その1年後5年後、10年後まで問題が無いとは限りません。また、加齢によって身体の状態や生活習慣は変化していきます。
そのため、今の自分を知り、過去からどう変化したのかを知り、自分がこれからどこへ向かいたいのかを知る必要があります。
自分についての情報も、身体や生活の変化に合わせて更新し続ける。
これらがそろうことで、初めて「では、今の自分には何が必要だろう?」と考えられるようになります。そして、数字に自分を合わせるために測るのではなく、数字を使って自分を理解し、選択肢を増やすために測る。
これが、オーソナライズにおける「自分を知る」という実践です。



検査と再評価を繰り返すのか・・・💧
血液検査は一回受ければそれで良い物と思ってた💧



そう思っている人が多いけど、1回だけの検査で全てが分かるわけではないんだ。継続して再評価することで初めて自分のことが見えてくることがあるから、自分を知るためにはこの循環を繰り返すことが大切だよ
まとめ|「自分を知る」とは、自分の変化と目指す未来を理解すること
分子栄養学で自分を知るというと、血液検査を思い浮かべる方も多いと思います。血液検査は、自分の身体について考えるための非常に重要な情報です。しかし、それだけで自分のすべてが分かるわけではありません。
症状、体格、体組成、食事、消化・吸収、睡眠、活動量、病歴や服薬、家族歴、ストレス、生活環境、そして検査結果。これらを組み合わせて考えます。
さらに、一回の数字だけではなく、過去から現在までの変化を見ていきます。
そして最後に、
「自分はどこを目指しているのか?」
を考えていくことが大切です。
自分を知るとは、
「今の数字」を知ることだけではありません。
身体・生活・環境・過去からの変化・これから目指す未来まで含めて、自分を立体的に理解することです。
検査の数字に自分を合わせるのではなく、検査や体組成、日々の記録などを使って、自分自身への理解を深めていく。
それが、分子栄養学を「自分に合わせる」ための第一歩であり、オーソナライズで大切にしている「自分を知る」という考え方です。





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